2月 10, 2025
「妄想ブラインドテイスティング」とは、プロの書いたテイスティングコメントを読むことで文字通り「妄想しながら」そのワインがどういうものか当ててみようという企画です。100点満点のコメントから日本一のソムリエが実践するテイスティング技法にそって、逆算的にワインを導き出してみてください。
*テイスティング技法については『ブラインドテイスティングのいろは|WINE TATSTING BIBLE』を参照
ブラインドテイスティングが活況を呈する昨今、お金をかけず、酔いもせずブラインドテイスティングに挑戦あれ!
【外観】
エッジに紫を残し、中心に黒みを帯びるダークチェリーレッド。
【香り】
プラムリキュールのような凝縮した果実香とレッドパプリカのような植物的なアロマが特徴。
【味わい】
果実味が非常に強く、外観の印象よりタンニンは緻密で滑らか。酸が柔らかくヴォリュームがある。
*出典:『WINE TASTING BIBLE』谷宣英/ナツメ社
テイスティング技法のプロセスは下記の通りです。
*妄想ブラインドテイスティングでは国・地域・ブドウ品種をメインに考えます!
1. 甘辛度やフレーヴァーから大まかに産地を予想する
2. 香り・味わいの要素から当てはまる品種を絞り込む
3. 味わいの強さから産地を絞り込む
4. 造りによる特徴の有無から醸造方法を予想し、詳細産地を絞り込む
5. 1~4で絞り込んだ内容から国、地域、ブドウ品種を判断する
最初に検討すべきは甘辛度とフレーヴァー。「凝縮した果実香」、「果実味が非常に強く」、「酸が柔らかくヴォリュームがある」といった表現から、温暖な産地で造られたワインであることがわかります。
果実味が全面に出た味わいを考えると、新世界だろうと推測できます。
次は、品種の候補を挙げていきます。
コメントで特徴的なのは、なんといっても「レッドパプリカのような植物的なアロマ」でしょう。
ひとまず植物的なニュアンスを持つ品種を考えてみると、
ピノ・ノワール/カベルネ・ソーヴィニョン/カベルネ・フラン/カルメネール/トウリガ・ナショナル
などが挙げられます。
*ピノ・ノワールは全房発酵の場合、グリーンノートやスパイス感が出ることがあります。
今回は「レッドパプリカのような」ということまでわかっているので、一足飛びにカルメネールと決めても良いですが、「ピーマン」のようなアロマを持つカベルネ・フランも候補として残しておきましょう。
ちなみに、味わいの酸味の穏やかさからもピノ・ノワールやトウリガ・ナショナルは除外することができ、カベルネ・ソーヴィニョンの植物的なアロマはユーカリなどの清涼感のあるタイプであることから外すことができます。
味わいの強さについて見ていきます。
要素としては、非常に強い果実味、滑らかなタンニン、柔らかい酸、ヴォリュームといった点から、強い果実味+穏やかな酸+高いアルコール度数という形のフルボディタイプということが分かります。
最後、一気に絞っていきます!
品種は、カベルネ・フラン、カルメネールと絞っています。味わいの強さから温暖な地域で栽培されているものであることがうかがえるので、ボルドーやロワールで多くが栽培されるカベルネ・フランの可能性は低く、カルメネールと断定してしまって問題ありません。
*元々カルメネールはメルローと勘違いされていたブドウですが、味わいでなく、特徴的な香りに注目することで間違えることはなさそうです。
となると、産地は自動的にチリとなります。
さらに、品種特性として酸こそ弱いものの、柔らかく感じられている点、タンニンの緻密さといった特徴は品質の高さの証といえ、チリの中でも高品質なワイン産地であり、カルメネールの栽培もおこなわれているコルチャグア・ヴァレーであることが推察できます。
実際にこのワインは?というと、
国:チリ
地域:ラペル・ヴァレー、コルチャグア・ヴァレー
ブドウ品種:カルメネール90%、カベルネ・ソーヴィニョン10%
ワイン:モンテス モンテス・アルファ・カルメネール2019年
でした!
日本におけるチリワインの立役者のひとつといっても過言ではないモンテス。
そんな彼らが手がけるこのワインは、手摘み収穫の後、5日間のマセラシオンと1週間程の発酵。スチールあるいはコンクリートタンクでMLFをした後、フレンチオークで12ヶ月間熟成されているそうです。
どうですか?当たりましたか?
次回の妄想ブラインドテイスティングもお楽しみに!!
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