10月 12, 2024
「妄想ブラインドテイスティング」とは、プロの書いたテイスティングコメントを読むことで文字通り「妄想しながら」そのワインがどういうものか当ててみようという企画です。100点満点のコメントから日本一のソムリエが実践するテイスティング技法にそって、逆算的にワインを導き出してみてください。
*テイスティング技法については『ブラインドテイスティングのいろは|WINE TATSTING BIBLE』を参照
ブラインドテイスティングが活況を呈する昨今、お金をかけず、酔いもせずブラインドテイスティングに挑戦あれ!
【外観】
透明感のある、全体的に紫を帯びた明るいチェリーレッド。
【香り】
熟したカシスやブラックチェリーと黒オリーブ、黒コショウの芳香。スミレのような華やかな印象も。
【味わい】
充実した果実味とフレッシュで豊かな酸味、滑らかでしっかりとしたタンニンとのバランスがよい。
*出典:『WINE TASTING BIBLE』谷宣英/ナツメ社
テイスティング技法のプロセスは下記の通りです。
*妄想ブラインドテイスティングでは国・地域・ブドウ品種をメインに考えます!
1. 甘辛度やフレーヴァーから大まかに産地を予想する
2. 香り・味わいの要素から当てはまる品種を絞り込む
3. 味わいの強さから産地を絞り込む
4. 造りによる特徴の有無から醸造方法を予想し、詳細産地を絞り込む
5. 1~4で絞り込んだ内容から国、地域、ブドウ品種を判断する
最初に検討すべきは甘辛度とフレーヴァー。香りの「熟したカシス」、さらに味わいの「充実した果実味」といった表現から温暖な気候で成熟した印象を受けますが、「フレッシュで豊かな酸味」とあるので、温暖産地の冷涼なエリア、あるいは冷涼産地の温暖なエリアくらいに広くあたりをつけておきましょう。
次は、品種の候補を挙げていきます。
香りの要素としては、「カシス」、「ブラックチェリー」、「黒オリーブ」、「黒コショウ」、「スミレ」が確認できます。
黒い果実、スパイス、フローラルな要素ということで考えると、
ピノノワール/シラー/ネッビオーロ
などが挙げられます。
一方、「黒オリーブ」という特徴的な香りにフォーカスすると、考えられる品種は
シラー/クシノマヴロ
くらいです。
クシノマヴロは果実香が控えめで、トマトや土の香りが象徴的ですので、品種はシラーに絞ってしまって良さそうです。
味わいの強さについて見ていきます。
「充実した果実味」、「フレッシュで豊かな酸味」、「滑らかでしっかりとしたタンニン」とあるので、ミディアム~フルボディであることが分かります
また果実味・酸・タンニンがそれぞれバランスよく保たれていることから、温暖な産地というよりは比較的冷涼産地であることも推測できます。
最後、一気に絞っていきます!
品種はシラーで冷涼産地の温暖なエリアと分かれば、場所はフランス、ローヌで問題なさそうです。
「黒オリーブ」や「黒コショウ」もまさにローヌの特徴で、温暖産地であれば「甘草」や「シナモン」の香りがするはずなので自信をもって答えられます。
実際にこのワインは?というと、
国:フランス
地域:ローヌ渓谷サン・ジョゼフ
ブドウ品種:シラー
ワイン:ドメーヌ・ピエール・ガイヤール サン・ジョゼフ ルージュ2019年
でした!
現行ヴィンテージ(2022年)と同じ造りをされているのであれば、手摘みで除梗、マロラクティック発酵の後に18ヵ月樽熟成(新樽率は15~20%)で造られているそうです。
どうですか?当たりましたか?
次回の妄想ブラインドテイスティングもお楽しみに!!
© 2024 @ THE WINE EXPERIENCE Co., Ltd.