妄想ブラインドテイスティング 3rd Glass

「妄想ブラインドテイスティング」とは、プロの書いたテイスティングコメントを読むことで文字通り「妄想しながら」そのワインがどういうものか当ててみようという企画です。100点満点のコメントから日本一のソムリエが実践するテイスティング技法にそって、逆算的にワインを導き出してみてください。
＊テイスティング技法については『ブラインドテイスティングのいろは｜WINE TATSTING BIBLE』を参照

ブラインドテイスティングが活況を呈する昨今、お金をかけず、酔いもせずブラインドテイスティングに挑戦あれ！

【外観】
グリーンを帯びた明るいレモンイエロー。粘性はやや強め。　
【香り】
熟したパイナップルや黄桃、カリンなど様々なフルーツとともにヴァニラやアーモンドの香りも。
【味わい】
クリーミーな質感で、豊かな果実味と酸がバランスをとり、余韻にフルーツの香りを長く残す。
＊出典：『WINE TATSING BIBLE』谷宣英／ナツメ社

テイスティング技法のプロセスは下記の通りです。
＊妄想ブラインドテイスティングでは国・地域・ブドウ品種をメインに考えます！

1. 甘辛度やフレーヴァーから大まかに産地を予想する
2. 香り・味わいの要素から当てはまる品種を絞り込む
3. 味わいの強さから産地を絞り込む
4. 造りによる特徴の有無から醸造方法を予想し、詳細産地を絞り込む
5. 1~4で絞り込んだ内容から国、地域、ブドウ品種を判断する

ステップ１

最初に検討すべきは甘辛度とフレーヴァー。香りの「熟したパイナップルや黄桃、カリン」、さらに味わいの「豊かな果実味と酸」から温暖な地域でしっかり成熟した印象を受けます。

ステップ２

次は、品種の候補を挙げていきます。

香りの要素としては、「パイナップル」、「黄桃」、「カリン」とありますが、着目すべきは「カリン」です。

カリンのニュアンスを持つ品種は、
シュナン・ブラン／リースリング／ルカツィテリ
くらいです。

リースリングといえば、シャープな酸味が特徴ですが、今回は果実味とバランスするほどよい酸味ということで除外できます。

また、あまり聞き馴染みのないルカツィテリですが、こちらはジョージアで栽培されるオレンジワインにも使われる品種です。ですが、今回は「グリーンを帯びた」とあり、イエローや黄金～琥珀色のルカツィテリも外すことができそうです。

となると、シュナン・ブランで決めてしまって問題なさそうです。

実際にブラインドテイスティングする際は、ヴァニラやアーモンドからシャルドネを想起する人も多いですが、品種香のカリンはシャルドネにはない要素なので良い目印となります。

ステップ３

味わいの強さについて見ていきます。

「豊かな果実味と酸」「クリーミーな質感」というところから味わいの強さはミディアム程度のものとわかります。

温暖な地域とステップ１から予想が立てれていますので、そことの齟齬もなさそうです。

ステップ４・５

最後、一気に絞っていきます！

品種はシュナン・ブランと分かっているので、そこからスタートしていきましょう。

シュナン・ブランは、ロワールを代表として世界各地で栽培されていますが、栽培面積はフランスと南アフリカで8割を超えます。中でも、南アフリカは53%の栽培面積を誇る世界最大産地です。

産地は温暖な地域であることがわかっているおり、「ヴァニラ」「アーモンド」といった要素もおそらく樽由来と大本命の南アフリカにしない理由もなさそうです。

正解は？

実際にこのワインは？というと、

国：南アフリカ
地域：コースタル・リージョン地域パール
ブドウ品種：シュナン・ブラン
ワイン：リーフランド・ヴィンヤーズ　リーフランド・オールド・ヴァイン・シュナン・ブラン

でした！

ステンレスタンクと旧樽を50%ずつ使い、状態の良い果皮のみを浸漬しながら2ヵ月熟成されているそうです。

どうですか？当たりましたか？
次回の妄想ブラインドテイスティングもお楽しみに！！