11月 17, 2025
日本にすでに何千・何万ものワインがある中、輸入されたワインには何か理由があるはず。ワインの仕入れの舞台裏にせまる企画「輸入の流儀」。
今回は、あまりイメージがわかない人がほとんどであろう(著者調べ)ポルトガル、ダオンの生産者テストゥーラを輸入するワインエクスペリエンス株式会社バイヤーの田上健一さんにお話を伺いました。

田上さんとテストゥーラを引き合わせた立役者はワインプロモーターとして活躍される別府岳則さんでした。
ポルトガルワイン委員会に所属する別府さんから、ポルトガル、ダオンの生産者ツアーの話をもらい参加を決めたそうです。
「本ツアーはダオンの10社のメーカーを回るというものだったのですが、テストゥーラは最初の生産者でした。テストゥーラを飲んだ瞬間に、ポルトガル、ダオンへのイメージは覆りました(笑)」
当時の田上さんは知らなかったそうですが、最初の訪問先であるテストゥーラに衝撃を受けたのには明確な理由がありました。

そもそもダオンとは、東から西にかけて標高がなだらかになっていくような地形になっており、東側は高標高の傾斜地、西側は低標高の平地となっています。
土壌も花崗岩質の東側と粘土質の西側という具合に分かれており、結果東側でより高価格帯のワインが造られています。
当時のツアーでは、東から西に向かって、生産者を訪ねていくというものだったころもあり、高標高に位置するテストゥーラが最初の訪問先となり、また高い品質であったのはいわば必然でした。
テストゥーラの歴史は、2018年に元銀行マンのブラジル人オーナーに端を発します。ワイン愛好家として様々なワインを楽しんだのち、理想のワインを求めてワイナリーを起ち上げるに至ります。
最高のテロワールを求めて行きついた先が、ダオンの東側だったということです。

とはいえ、美味しかったらなんでも輸入をするというわけでもありません。
当時の田上さんには、テストゥーラを輸入するインセンティブがありました。
「テストゥーラの輸入を決めたとき、会社を創業して2年が経過しており、創業当初からコツコツやってきた基盤づくりも形になってきており、そろそろ万人が認める有名産地ではなく、まだまだ発見されていないけど、品質の確かなワインを日本に紹介するという挑戦的なことをやってみたいなと思っていた時期でした。」
ツアーに参加する前のポルトガルワインといえば、比較的価格帯の安いものか、高級志向でモダンな造りをしたものか、と二極化している印象を持っていたそうです。
歴史や伝統に根付きながら、新たな取り組みにも挑戦している中高価格帯のワイン、というのに正面から答えてくれたのがテストゥーラだったと語ります。
また自身の主観だけで判断することはなく、ツアーが終わると街に繰り出し、様々なワインショップで話を聞きます。一押しの生産者を聞いて回ると、どのお店でもいくつかの生産者の中にテストゥーラの名前が挙がったことで決断を固くしたそうです。
日本での売価はエントリーレンジでも4,000円とポルトガルワインとしては高価な部類ですが、ペアリングをやっているお店を中心にじわじわと人気が広まってきているようです。
「定期的に海外に行くようにしていますが、そのたびに日本での『有名』と世界での『有名』が違うことを認識させられます。現在のポルトガルワインの立ち位置は、パリスの審判以降ながらく続いた国際品種の時代を超え、土着品種で世界レベルの品質を実現するという意味において最先端にいると言えます。こういった、日本と世界の『ずれ』のようなものを、その地域の代弁者として紹介できるのこそインポーター冥利に尽きると言えます。」
テストゥーラがはるばる日本までやってきた理由は、
1. インポーターとして紹介すべきマイナー産地の輸入という挑戦の時期にあった
2. 土着品種で世界水準のワインを造るということができているワイナリーだった
3. 日本と世界のワイン市場への認識のずれを象徴する普及したくなるワイナリーだった
ということでした。
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