7月 30, 2024
妄想ブラインドテイスティング」とは、プロの書いたテイスティングコメントを読むことで文字通り「妄想しながら」そのワインがどういうものか当ててみようという企画です。100点満点のコメントから日本一のソムリエが実践するテイスティング技法にそって、逆算的にワインを導き出してみてください。
*テイスティング技法については『ブラインドテイスティングのいろは|WINE TATSTING BIBLE』を参照
ブラインドテイスティングが活況を呈する昨今、お金をかけず、酔いもせずブラインドテイスティングに挑戦あれ!
【外観】
グリーンがかったレモンイエロー。艶、輝きあり。粘性は強め。*白ワイン
【香り】
レモングラス、パッションフルーツ、グースベリー、ムスクなどの様々な香りを強く感じる。
【味わい】
アタックは優しく、果実味が豊かで酸味がより高くフレッシュな味わい。中盤からほのかに苦みも。
*出典:『WINE TATSING BIBLE』谷宣英/ナツメ社
テイスティング技法のプロセスは下記の通りです。
*妄想ブラインドテイスティングでは国・地域・ブドウ品種をメインに考えます!
1. 甘辛度やフレーヴァーから大まかに産地を予想する
2. 香り・味わいの要素から当てはまる品種を絞り込む
3. 味わいの強さや土地の香りから産地を絞り込む
4. 造りによる特徴の有無から醸造方法を予想し、詳細産地を絞り込む
5. 1~4で絞り込んだ内容から国、地域、ブドウ品種を判断する
最初に検討すべきは甘辛度とフレーヴァー。フレーヴァーにある「パッションフルーツ」や味わいにある「果実味が豊か」といった表現から比較的温暖な地域で造られていることが想像できます。
しかし、「酸味がより高くフレッシュな味わい」とあるので、温暖→新世界といくのは拙速かもしれません。ひとまず、比較的温暖な地域だろうと広く当たりをつけてみます。
次は、品種の候補を挙げていきます。
香りの「レモングラス、パッションフルーツ、グースベリー、ムスク」というところからは、可能性としてはシャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、アリゴテ、コルテーゼ等が考えられるでしょうか?
しかし外観の「粘性は強め」、味わいの「果実味が豊かで酸味がより高くフレッシュな味わい」という表現から、果実味の弱いアリゴテや粘性の弱いコルテーゼは除外することができます。
また外観の「グリーンがかったイエロー」というところからシャルドネも除外できるかもしれませんが、いったん可能性としては持っておきましょう。
味わいの強さは果実味、酸味ともに高いですが、「アタックは優しく」という表現からアルコールはそこまで強くないというのが特徴です。
ステップ1で「比較的温暖な地域」とあたりをつけましたが、旧世界の比較的温暖な地域である可能性が見えてきます。
ステップ4とステップ5は一度に進めます!
まずはコメントから造りの可能性に思いを巡らしてみます。
ポイントになる表現は「ムスク」と「中盤からほのかに苦み」という箇所でしょうか?
白ワインで苦みとなると考えられる要素は樽か酒石酸、あるいはその双方です。冷涼な産地なほど、リンゴ酸量は増加し、対して温暖な産地ほど酒石酸量は増加します。
しかし、酒石酸は単なる苦みではなく、塩味も一緒に感じられる味わいなので、塩味に言及のない今回は酒石酸ではなく樽からくるニュアンスなのかもしれません。
樽を使用した場合、シャルドネは乳製品的な香りが出てきますが、その要素はなさそうなので、品種はやはりソーヴィニョン・ブランとなりそうです。
ソーヴィニョン・ブランの栽培場所を考えると、フランスロワール、フランスボルドー、ニュージーランド、その他新世界が挙げられます。
ステップ3までで比較的温暖な旧世界というあたりをつけていたので、より低緯度で沿岸に暖流の流れるフランスボルドーだと推測できます。
実際にこのワインは?というと、
・国:フランス
・地域:ボルドー
・ブドウ品種:ソーヴィニョン・ブラン
・ワイン:シャトー・レイノン・ブラン
でした!
平均樹齢23年のソーヴィニョン・ブランが使用され、オークとステンレスタンクで発酵、その後5カ月の熟成を経てリリースされているそうです。
どうですか?当たりましたか?
次回の妄想ブラインドテイスティングもお楽しみに!!
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