【元場章人】ワインスクール、ルネッサンス！｜講師インタビュー

ワインスクール講師としてのキャリアは10年以上、教えてきた生徒は累計1万人以上という規格外の「先生」元場章人さんにお話をうかがいました。

彼の名は、メキシコ。

元場先生とお酒の出会いは、先生がまだ「メキシコ」と呼ばれていた学生時代でした。

パーマにアロハという今からは想像もできない出で立ちの元場先生は、大学生の友達と行ったバーでお酒の持つ大人の色気に魅了されます。

翌日にはカクテルブックとシェイカーを買い、横浜のバーでバイトをスタート。バイトを通じて、ハードリカーへの理解を深めていきます。

そんな中、ワインに出会うきっかけになったのは、フランス旅行。親戚が住んでいたこともあり、10日間滞在しワインの世界を垣間見ます。

帰国後もバーの先輩にワインを飲みに連れていってもらいつつ、自らワインの勉強にも努めます。

とはいっても、お金もスマホもない時代。ワインショップに行っては、いくつかのワインに目星をつけて、家に帰ってどんなワインなのかを本で調べるというアナログスタイル。

きっかけは『世界の名酒辞典』

バイトも気づけば3年半が経過し、大学卒業が間近になってくると当然職業について考えるようになります。

ワインならば自分の人生をささげても、学びつくせない面白みがあるだろう、とワイン業界を志望します。しかし、今日でも新卒採用などが一般的でないのがこの業界。

そんな時に目に入ったのが、いつもワインを教えてもらっていた『世界の名酒辞典』。祈る思いで、掲載されていたインポーターに片っ端から手紙を出していきます。

「当然ほとんどの会社から返信なんて来ないんですが、たまにいただく温かい言葉に勇気づけられながら、めげずにやっていました(笑)」

結果、虎ノ門の株式会社マスモトのワイン部門であるヴァン・シュール・ヴァンから面接の連絡をもらい、見事入社を果たします。

ワインスクールとの出会い

１年目はマスモトの社員として配達業務に精を出し、お酒を台車に乗せて駆け回る日々。

しかし、そこはさすが元場先生。１年目のお金がない中でもちゃんとやりくりしてワインスクールへ。そのワインスクールこそが数年前に世界一に輝いた田崎真也氏のワインサロンでした。

ワインサロンという凝縮された非日常空間に魅了された若者は、次第にワインとともにワインスクールという場を好きになっていきます。

ワインスクールに通いつつ、会社では2年目にしてワイン管理を任されるように。

そんな折、ワインサロンの先生から「講師にならないか」、と声をかけてもらいます。もちろん自分が講師に、なんて不安しかなかったといいますが、新しいことへ挑戦したいという思いも強く、「えいや」で飛び込みます。

1年目は裏方に回って、ワイン管理や資料作成などを行いますが、2年目からはワイン講師としてデビューします。

準備を大切にする元場先生は、講座に向けての台本作りから、ホワイトボードへ書く内容の整理まで前もって備えるそうですが、そこまでやっても想定外はつきものです。

実際に、デビュー戦に備えていたある日、フラッとやってきた田崎さん相手に急遽、対面での模擬講座をさせられたり、ワイン講師として1発目の講座に明らかに泥酔したお客さんが参加していたり、と想定外に対応しながらワイン講師として経験を積んでいきます。

一方でワイン講師としてだけではなく、講師歴2年目にはコンクールへ出場するようになり、2006年のロワールワインコンクールで準優勝、翌2007年のワインアドバイザー全国選手権大会で優勝を果たすなど、有無を言わせぬ実績を積んでいきます。

結局、田崎真也ワインサロンには15年在籍し、年間400コマもの講座を担当しながら、累計1万人以上の受講者を輩出するという規格外のワイン講師に成長していきます。

惜しくもコロナ禍にワインサロン自体が閉校となると、レコール・デュ・ヴァンに移籍し、さらにその2年後にはワインプラスカレッジの校長に就任します。

「ワインも大好きですがワインスクールという場も大好きなんです。そして、わたしが好きなワインスクールは単なる勉強の場ではなく、人も場もワインもキラキラしている、感動を与えてくれる空間です。この広尾で、かつて自分が感動した輝き以上のものを提供できればと思っています。」

「ワインスクール文化のルネッサンス」に取り組みたいと語る元場先生は、広尾のワインプラスカレッジから発信を続けています。

元場先生のセミナー

そんな元場先生のセミナーは、こちらからご覧いただけます！
https://college.wineplus.jp/collections/akihito-motoba

知識偏重になりすぎないワインという「世界」に触れてもらうセミナー作りを心がけているそうです。

最後に

最後に元場先生にも最後の晩餐について尋ねてみると、

「わたしがワインの世界に入るきかっけになった、初めてのフランス旅行で叔父からもらった1990年のChateau clos des jacobins／シャトー・クロ・デ・ジャコバンをこれまで関わってきた人たちと一緒に飲みたいです。ご飯はいりません！(笑)」

とのこと。

数えきれないほどの経験を積んだ元場先生だからこそたどり着ける、職人芸ともいうべきワインセミナーを是非体感してみてください！