2月 16, 2024
都内のレストラングループで経験を積み、現在はフリーランスのワインコンシェルジュ/ ソムリエとして活躍する三沢雄一さんにお話をうかがいました。
三沢先生が飲食の世界に触れたのは、高校時代のデニーズでのバイト。
もともと食の好き嫌いが多かった三沢先生でしたが、バイトを通じて好き嫌いが改善され、食に興味を持ち始めるようになったと語ります。
次の飲食バイトは大学時代。ディズニーランドのアンバサダーホテルでオープニングスタッフをはじめ、ホテルの宴会スタッフをすることが多かったそうです。
大学時代の三沢先生はとにかく表面的なカッコよさへの憧れが強かったそうで、バイヤーとして海外で買い付けする、という世界観に魅力を感じ、アパレル業界を志望します。
業界に入るために、大学卒業後はアパレルの専門学校に入り直し、学費を稼ぐためにレストランでのバイトを始めるようになります。
場所は汐留の高層ビル41階にそびえるFish Bank Tokyoというカッコイイもの好きならではのチョイス。オープニングスタッフとして勤務を始めます。
グローバルフレンチを呼称していたFish Bankでは、ニューワールドのワインが出ることが多く、当時オレゴンのピノ・グリを飲んで、ワインの面白さに開眼したとおっしゃいます。
さらに、偶然にも当時通っていた専門学校が、ワインスクールの運営をスタート。その学校こそが今日のレコール・デュ・ヴァンです。
レコール・デュ・ヴァンの二期生として入学し、ソムリエ資格を取得した三沢先生は、ワインを職とすることに決め、新天地に向かって歩き出します。
ソムリエとしての最初のお店は、カリフォルニアワインの品ぞろえで有名なレストラン、リコス麻布でした。
しかし前職からニューワールドワインを中心に扱っていたこともあり、その反動でオールドワールドのワインへの関心が日に日に強くなります。
そうして、リコス麻布で経験を積んだ後、赤坂にあったクラシックフレンチと高級ワインのレストラン、セレブールへ入社を決めます。
しかし、この頃の三沢先生はというと、正社員として働いたこともないのに表面的なカッコよさばかりにとらわれた、いわゆる「イタイ」若者だったとのこと。
セレブールの面接では、そうした甘い部分はすべて見透かされ、散々ダメ出しを受けます。さらに、入社するとスパルタな先輩のもと、お店に泊まり込みで働くようなハードな生活が幕を開けます。
「夜中の2時くらいにお客さまが帰られて、そこから片付け。そして先輩にワインを教えてもらう。翌朝は、近所のスポーツジムでシャワーを浴びて出勤するという、今では考えられない職場環境でした(笑)。しかし、あの時に色々な経験を積ませてもらったからこそ今日のわたしがあるのだと思います。」
この時の仕事を通じて、三沢先生は甘さを捨て、本当の意味でサービスマンとして成長していきます。実際、1年後にはマネージャーに就任し、その数年後にはゼネラルマネージャーとしてあじる亭をはじめとした5店舗のマネジメントにもたずさわります。
全店舗のワインを集めると、クラシックなフランス銘醸古酒からカジュアルなチリのワインまで世界中のワインが満遍なく揃ったというほど、幅広いお店のマネジメントを経験したことが非常に大きな財産になったと語ります。
異なるジャンルの店舗マネジメントを通じて、三沢先生がサービス面で心がけていたのが、「お客様のためにできることは何でもやる」という信条のもと、それぞれのお店にあった接客をするというでした。
ハイグレードなお店ではフレンドリーでありながらエレガントなサービスを、カジュアルなお店では元気な居酒屋接客を行いつつ、求められたら期待を少しだけ上回る接客を、と役柄に応じて自分を変える役者顔負けのサービス力を磨きます。
そして、もちろんマネージャーとして現場のスタッフたちが同じ方向を向いてくれるための社員教育にも余念はありません。
「周りの方は、わたしを『ソムリエの三沢さん』と呼んでくださいますが、個人的には『ソムリエ』である前に『サービスマン』としての意識が強いのだと思います。」
順調にも見えたお店の運営ですが、コロナ禍に直面したことなどもあり、お店は譲渡・閉店することに。こうして、セレブールでの15年間のキャリアが幕を閉じます。
セレブールの後は転職か独立かを考えていたところ、群馬・高崎の高級鉄板焼き業態でのオープニング立ち上げのマネージャーを探していると相談を受けます。さらに、ココ・ファームでのショップコンサルタントの依頼もいただくことに。そこで、「できる事はなんでもやってみよう」と決めて独立に至ります。
その後、フリーランスのソムリエとしてだけでなく、人材育成や企画の立案、さらには酒屋と活躍の場をひろげていきます。
そんな三沢先生のセミナーは、こちらからご覧いただけます!
https://college.wineplus.jp/collections/yuichi-misawa
セミナーにあたっては、受講者の「良き伴走者」でありたいと語ります。ひとつひとつの語句をかみ砕いて、わかりやすい授業を心がけていくそうです。
最後に三沢先生にも最後の晩餐について尋ねてみると、「鰻のかば焼き」をタンニンが柔らかくなった90年代のシャトー・ラグランジュと合わせて、「鰻の香ばしさや旨みをワインとともに余すことなく味わいたい」とのことでした。
親しみやすさと分かりやすさを通じて、ワインが楽しく、美味しいことを伝えてくれる三沢先生のセミナーを是非受講してみてはいかがでしょう?
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