4月 24, 2023
“DON’T THINK, FEEL.”
ブルース・リーの教えをワイン教室で実践する男がいる。
三鷹の「イタリアワインと食材阿部」から白衣で登場する男こそ阿部誠治、その人だ。
白衣といういで立ちから、イタリアワインというトピックスに丁寧にメスを入れていく理路整然としたアカデミックなセミナーを想像されるかもしれない。
しかし、その実態はいわばイタリアワインを切り裂き、飛び交う血を浴びながら、イタリアワインを体感してくれ!と言わんばかりの前衛的なセミナーなのである。
ということで、今回は2023年4月14日に開催された阿部誠治教官の「阿部誠治の「イタリアワイン黄金体験」への道~“北イタリアの土着品種で巡る” 芽吹きを感じるイタリアワイン~」を受講してきました。
阿部教官(*阿部先生のことは教官と呼ぶことがルールです)のセミナーでは、ストリートからラグジュアリーシーンまで、様々な選択肢を持つイタリアワインの魅力を、各回阿部教官が決めたテーマに沿って6種類のワインと進んでいきます。
阿部教官が大切にしているのは、教科書通りの知識ではない、イタリアワインが持つニュアンスであり、それを「体感」してもらうということです。
なので、言ってしまえば、以前ご紹介した永瀬先生の『ジーロイタリア』で教えてもらえるのが宮廷言語なのだとすれば、阿部教官が教えてくれるのは、教科書には載らないようなスラング。
こういった知識は、言語化しづらいので、実際に来て、飲んで、聞いて、感じることのできるリアルセミナーならではの内容になっています。
では、実際のセミナーについて、ご説明します。
当日のセミナーはタイトルの通り、「芽吹き」を感じるイタリアの土着品種についてでした。
一般的な場合ですと、一つのワインを飲んで、どのようなイメージを持つかという「ワイン→イメージ」の順序が多いですが、今回はイメージに合うワインについて考えてみるという「イメージ→ワイン」のベクトルです。
最初は4種類のブラインドテイスティングから始まりました。
色合いは薄緑~黄金色、澄んでいるものから少し濁りのあるものまで、
実は、最初のブラインドテイスティングは全部お茶でした(この4種類は当然6種類のワインテイスティングには含まれませんのでご安心を笑)。 阿部教官が伝えたかったのは、緑茶というひとつのカテゴリーをとっても、メーカー側は様々な切り口・意図で商品の差別化を図っており、わたしたちがそれを高い解像度で感じ取ることができるというものでした。
これがまさに阿部教官の言う「体感」です。
まずはわたしたちにも身近な緑茶でチュートリアルをして、同じことをイタリアワインでもやっていきます。
当日出されたワインの品種は、プティアルヴィン、エルバルーチェ、アルネイズ、リボラジャッラ、ノジオーラ、テロルデゴといったザ・土着品種でしたが、土着品種と侮ることなかれ。出てくるワインのクオリティは非常に高く、阿部教官の言うイタリアワインの裾野の広さ、多様性を十二分に感じることができます。
もちろん気候風土や品種、歴史といった解説もありつつ、こんな感じあんな感じという「体感」を大事にしながら、メタファーたっぷり、笑いたっぷりのセミナーは進行していきます。
セミナーを終えると、みなさん「楽しかった~!」という感想。
いわゆる「笑い」の多さでは、ワインプラスセミナー随一ではないでしょうか?
正面からワインに向き合いたい人も、純粋に楽しさを追求したい人も、応えてくれるのが阿部教官のセミナーの懐の深さであり、イタリアワインの奥深さなのだと実感させられます。
ワインセミナーに敷居の高さを感じている人、ワインセミナーの新しい楽しさを体験してみたい人はぜひ一度受けていただきたいセミナーです。
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