12月 11, 2023
「広尾にボルドーがやってくる。」
そんな謳い文句に誘われて、ワインスクールへやってきた。
そもそもワインスクールでメーカーズディナー?という気もするが、来てしまったものはしょうがない。
ということで、今回のメーカーズディナーの様子をご紹介させていただきます。
開始時刻の19時少し前に到着すると、会場のワインプラスにはすでに楽しげな雰囲気が漂っていました。
オープンエアのカウンターでは、今回の主役であるCh. Fleur Cardinal (シャトー・フルール・カーディナル)オーナー一族のキャロリーヌさんと通訳のジェレミーさんを中心に参加者がシャンパンを飲みながらの歓談中。
到着を告げると、ロゼシャンパンとともにアミューズでお出迎えを受けます。
アミューズをつまみつつ軽い一杯が終わると、本会場である2階へ移動します。
ディナー会場がワインスクールということで、どういうところかと思えば、英国風の素敵な内装で気持ちが高まります。さらにお料理は、なんと六本木ヒルズのフレンチ「レグリス」で腕を振るった波多野シェフがケータリングにいらしているとのことで、こちらも期待がふくらんでいきます。
さて、着座すると間もなくジェレミーさんの通訳のもと、キャロリーヌさんの挨拶がスタートします。
正直に言わせていただくと、わたしはボルドーのシャトーオーナーと聞いて、お金にも人生にも何不自由していない(もしかしたら、ちょっと鼻持ちならない)貴族を想像していました。
しかし、当日キャロリーヌさんの口から語られたのは、真摯に自然と向き合う農家としての姿勢と、堅苦しさを感じさせないウィットに富む逸話の数々。
Ch. Fleur Cardinal オーナー夫人キャロリーヌさん
と、お話に入る前に当日のワインとお料理をご紹介致します。
ワイン
Ch. Fleur Cardinal Intuition 2022
Ch. Fleur Cardinal 2021
Ch. Fleur Cardinal 2018
Ch. Fleur Cardinal 2014
Ch. Fleur Cardinal 2009
最初のワインIntuitionは本来シャトーに行かないと飲めないCh. Fleur Cardinal唯一の白ワイン。直感を意味する”Intuition”は、シャトー購入の決め手となった先代オーナー奥さまのひらめきに敬意を表してつけられているそうです。
そして、そこから始まるワイン農家としてのお話。
「一昔前は、10年あればある年は霜、ある年は雹、またある年は旱魃、という感じでしたが、今では1年の間にそれらすべての困難に見舞われます。」
「2021年は霜との闘いでした。9日間毎日午後10時~午前7時まで霜がおりないように見張りながら夜を明かしました。」
「2017年は霜によって97%の収穫が台無しになりました。なので、2018年はわたしたちにとってリベンジの年でした。」
「自然からの難題にたいして、いつもなんとか自分たちなりの答えを出しますが、当然完璧な解決策など存在しません。ひとつの解決策だけでは対応しきれない問題が浮上してきますが、それでも立ち向かうしかないのです。」
イメージだけでワインメーカーを想像していた自分を深く反省しました。聞けば聞くほど、自然を相手にするワイナリーという仕事の厳しさ、自分の目の前にあるワインがいかに大変な作業の産物なのかということを思い知らされます。
一見すると華やかに思える仕事も、裏では信じられないような苦労によって支えられているということを実感します。柄にもなく、”C’est la vie(それが人生)”と独り言してしまいます。
キャロリーヌさんと通訳ジェレミーさん
しかし、キャロリーヌさんの口から語られる苦労話は悲壮感などひとつもなく、楽しげにまたそんな苦労のもと素晴らしいものへと成長した自身のワインを誇らしく思っているようでもありました。
キャロリーヌさんを囲むようなテーブル配置もあってか、参加者からは自然と質問も出て、みんなで会話をするようにディナーは進んでいきます。
魚料理:伊勢真鯛と帆立貝の鯛焼き仕立て ソースブールルージュ
波多野シェフの鯛焼きを模したお料理では、参加者みんなでたい焼きをキャロリーヌさんに説明する和やかなムード。
オーナー一族に嫁いだキャロリーヌさんの苦労話には女性参加者からも共感の声が漏れつつ、お食事も小気味よく運ばれてきます。
ディナーの途中には、キャロリーヌさんによるCh. Fleur Cardinalのプレゼンテーションもありましたが、3D映像を使った畑の紹介は非常にわかりやすく、現場の写真も相まって、「たしかにちょっと行った気分になれるな。広尾にボルドーがやってくるとはこういうことなのかな。」などと思っていたら、大間違い。
「今日は特別にキャロリーヌさんがVRゴーグルを持ってきておりますので、是非Ch. Fleur Cardinalを体感してみてください。」と案内が、
物珍しさもあり、もちろんやらせていただきました。
VRゴーグル、すごいんですよ。
ワイン造り体験ができるというので、つけてみたらCh. Fleur Cardinalの畑から始まり、収穫、選果、醸造等を本当に体験させてくれました。
根本的な自然と向き合うという姿勢はそのままに、新しいものを受け入れながら前に進んでいく、これもまた”C’est la vie.”なのでしょうね。
ということで、「広尾にボルドーがやってくる」という看板には何の偽りもありませんでした。
ワインスクールだからできるメーカーズディナー、みなさんも次回は是非ご参加ください!
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