4月 20, 2023
「君は『引力』を信じるか?」というのは、荒木飛呂彦氏の大人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第6部に登場する強敵エンリコ・プッチ神父の言葉ですが、今回はイタリアワインという引力に導かれた阿部誠治さんにお話をうかがいました。
阿部教官が飲食の世界を志したのは、大学生の頃でした。
当時は『料理の鉄人』をはじめ飲食の華々しい世界が紹介されており、クリエイティブな食の世界、中でもイタリアンの世界に強い憧れを持ったと語ります。
料理人志望であったため、4年制の大学を卒業後は、調理師学校、そして、夢にまで見たイタリアンの世界へ。
最初に入った代官山イタリアンは、今日イタリアンの最前線で活躍する料理人やサービスマンを多く輩出した名店。
当然厨房は人手が足りており、サービスマンとして働きながらキッチンに空きが出るのを待つことに。数ヵ月の辛抱の末、キッチンに入ることになりますが、今度はお店都合でお店を離れることに、と序盤からハードモードなキャリアです。
お店の方の支えもあり、無事フォーシーズンズホテル椿山荘東京(現ホテル椿山荘の前身)で働くことになります。
メインダイニングのディナーサービスを担当させてもらえることになりますが、元々料理人志望だった阿部教官はサービスとしてやっていくことに大きな葛藤を抱えることに。
しかし、そんな阿部教官の気持ちとは裏腹に、いくつかの偶然が重なり、なんと26歳にしてメインダイニングのシェフソムリエに大抜擢されます。
シェフソムリエとはいえ、気持ちも追いつかなければ、技量も追いつかない中、前職の先輩に助けを求めたことがきっかけで、阿部教官はイタリアワインの引力にますます引き込まれていきます。
その出会いこそ、今は亡きイタリアワインの大御所内藤和雄さんとの出会いでした。
当時、内藤さんは業界向けに勉強会を開催しており、阿部教官は幹事役を務めることになります。
「内藤さんの勉強会に出て、ソムリエという仕事の解像度がまるで変りました。セレクションはもちろん、温度や酸化の具合をみながら、まるでワインを調理するかのように提供する様を見て、ワインというものを通じて、こんなにも自己を表現できるんだと感銘を受けました。」
椿山荘に10年勤める中で、経営母体の切り替えがあり社内体制が大きく変わる中、阿部教官は退職することに。
もともとは組織の中でキャリア形成を、と考えていたため大誤算ではありましたが、切り替えて独立の意思を固めます。
内藤さんから独立前の修行の地として紹介されたのが、広尾インプリチートでした。
「正直、ラグジュアリーホテルのメインダイニングのシェフソムリエとしてやってきていたので自信はありました。しかし、インプリチートのお客さんはイタリアワインの猛者たち。わたしの自信は初日で崩れ去りました…。」
イタリアンワインフリークともいえるような人たちに囲まれて、3年間揉まれて、やっと独立を果します。
36歳のときにオープンしたお店も今年で9周年を迎えると言います。
お店作りのコンセプトは、「知的好奇心を刺激するお店」というもの。
イタリアワインの真実に向かおうとする人なら、きっと満足いただけるお店です。ぜひ門をたたいてみてください。
そんな阿部教官が受け持つセミナーは、『阿部誠治の「イタリアワイン黄金体験(ゴールドエクスペリエンス )」への道』です。
ストリートからラグジュアリーまで無限に広がるイタリアワインの魅力を「体感」していただけます。
最後に、例のごとく阿部先生にも「最後の晩餐」について聞いてみました。
「最後は、奥さんと今年で5歳になる子どもと一緒に焼肉でも食べたいですね。ワインを合わせるなら、カンティーナ・デッラ・ヴォルタのランブルスコとか良さそうですね。」
ジョジョ大好きな阿部教官とぜひワインとジョジョのトークで盛り上がってください!
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