4月 10, 2023
悩めるワイン業界人(と未来のワイン業界人)におくる「THEワインキャリア」の今回は、登場とともにメディアを騒がせた、別荘の年単位のサブスクリプションを可能とし「あたらしい暮らし」を提案する”NOT A HOTEL”の野村大智さんにお話をうかがいました。
福岡出身の野村さんは高校卒業とともに、ほのかな憧れを抱いていたバーシーンの道へ。
九州一の「夜の街」中州のオーセンティックバーで初めての飲食経験を積んでいきます。バーテンダーとして一人前のスキルがついてきた頃、友人の誘いにのり、今度は東京へ。
当時はやっていた横丁スタイルの洋食バルの起ち上げに携わり、さらに系列店のハワイアンダイニングや古民家居酒屋のオープンにも尽力します。
3店舗の起ち上げに、20代半ばの青年がかかわったといえば立派なものですが、野村さんの向上心はまだまだ満たされません。
そつなく仕事はやれているものの確固とした自分の武器がないことに不安を感じ、今やミシュラン常連のレフェルヴェソンスや日本橋の人気フレンチラ・ボンヌターブル等を抱えるサイタブリアグループに入社します。
表参道に店舗を構えるサイタブリア・バーで本格的にワインと巡り合い、その後はラ・ボンヌターブルの起ち上げメンバーとなります。
サイタブリアでワインを扱う中で、自分が探し求めていた「武器」こそワインに他ならないと感じ、ソムリエ試験と次世代を担う若手ソムリエの登竜門であるJ.S.Aソムリエ・スカラシップへの挑戦を決めます。
野村さんが決勝へ駒を進めたスカラシップ長野大会では、井黒卓(現ロオジエ)、森本美雪(現コンラッド東京)、岩田渉(現ザ・サウザンド京都)という文字通り今のソムリエ業界のトップランカーが顔をそろえていました。
サイタブリアで5年間の経験を積み、生まれ故郷の福岡に舞い戻ります。
次なる舞台は、ウェディング業界。
「同じことをずっとしていると飽きちゃうので、新しいフィールドに行きたくなるんです。」
バー、レストランと経験を積み、新天地ウェディング会社と20代の頃に志した「確固とした武器」を使って、どんどんフロンティアを開拓していきます。
ウェディング業界では、ワークライフバランスという言葉を知らない飲食業界とは異なり自分の時間を持つことができたので、2016年からコロナが始まる2019年までは、ポメリー・ソムリエコンクール、ポルトガルワインコンクール、ボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン生産者組合主催のソムリエコンクールに出場して、見事決勝まで進みます。
「切磋琢磨する友達に会いに決勝まで行く。海外に行くためにさらにその先まで頑張る。」
そう言いきって、実現してしまうのが野村さんの魅力です。
その後、2022年のリリース後にたちまち世間の話題をさらったNOT A HOTEL、その運営を一手に担うNOT A HOTEL MANAGEMENTのプロジェクトマネージャーに抜擢されます。
*画像はイメージです
NOT A HOTELが連日のようにメディアを賑わせたのは、その全く新しいビジネスモデルゆえです。
これまでの別荘と言えば、大金を積んで購入して、年に数週間か宿泊できれば御の字というものでした。
しかしNOT A HOTELは、別荘の年間30日間の所有権を購入するというもの。日数を絞ることで、よりハイクラスな別荘をリーズナブルに購入することができます。
*今後は年間30日未満の購入枠も出てくるそうです。
2022年11月に初回リリースをするやいなや、瞬く間に購入枠は完売。
「新しい家の持ち方」、「あたらしい暮らし」を提案するNOT A HOTELのコンセプトは見事に受け入れられました。
NOT A HOTEL MANAGEMENTはNOT A HOTELの店舗の運営を担う子会社です。
「2025年までに30ヵ所の開業」というNOT A HOTELの成長を実現させるために、各開業地に行き、稼働後の滞りないオペレーション設計から、ワインリストの作成、スタッフの教育まで全てその土地に合った形で行っていきます。
新しい形のホテルということもあり、連絡を取り合うのは現場スタッフだけでなく、建築部、エンジニアなど多岐に及ぶと言います。
「おかげさまで飽きっぽいわたしでも、飽きている暇がないくらい楽しく忙しい日々が送れています。飲食業界のような昼夜を問わない働き方ではなく、上場を見据える企業としてワークライフバランスにも配慮しているので、現場が効率的にオペレーションを回せるように、知恵を絞るのも新しい楽しみになっています。」
さて野村さんのキャリアの秘訣はどこにあったのでしょうか?
お話をうかがった中で感じたのは、
・ワインという一つのスキルを深めつつ、常に新しい業界で新しいスキルセットを獲得すること
・切磋琢磨できる仲間を持つこと
・変化への高い適応力
ワインの業界に目を向けると、ワインという一芸を極めようとする人は多くいます。しかし、激しい競争の中で勝ち残れるのは、ごくごく僅かです。
場合によっては、ワインで100万人に1人の人材になるよりも、100人に1人くらいのスキルを3つ持つことで、100万人に1人の人材を目指す方が良い場合も多々あります。
野村さんは、ワインという強い武器を磨きながらも、バー・レストラン・ウェディング・ホテルと常に新しい分野で新しいスキルを獲得することで、NOT A HOTELという大きな注目を集めるベンチャーからお声がかかるほどの人材に成長していきました。
最後にワイン業界で働く人(これから働く人もふくめ)への伝えたいメッセージをうかがってみました。
「わたしはコンクールを通じて、ワインを学んでいきましたし、切磋琢磨できる同世代の仲間と知り合うことができました。なので、コンクールへの挑戦はぜひおすすめします。
コンクールで活躍すると、色々な人に見つけてもらい貴重な経験も積ませてもらえます。ぜひ本気でコンクールに臨み結果を残すことで見える新しい景色を楽しんでいただければと思います。
これからまだまだ拡大を目指すNOT A HOTEL を一緒に盛り上げていく仲間を募集中です!」
今後ますます注目されること間違いなしのNOT A HOTELの展開をお見逃し無しなく!
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